The Days of Daisuke～土橋ﾀﾞｲｽｹの日々燦々～

さて一人目。

佐久間学です。

たぶんこれを読んでる方の中で彼の名前と音楽を知っている方は
ほぼいないと思う。

残念ながら現在のネット環境においても彼の画像を検索するのは
難しく（公式サイトすらなくなっている）、
目立った音楽活動から遠ざかってしまっているみたいだが。

彼は1990年に17歳でメジャーデビュー。
「17歳のブルーズマン」みたいなキャッチフレーズだったと思う。
その後メジャーよりアルバム数枚、その後インディーズに移り
数枚をリリース。
確認できる所で2003年のアルバムが最後のリリースらしい。





僕が初めて聴いたのは1995年発表のインディーズ盤
「Oh My Friends」。

横浜の、友人や仲間とやっていたバー。
エネルギーの有り余った明日の見えない僕らは
夜な夜なたむろし、浴びるように酒を飲み、くだを巻いた。

そろそろ家業を継ぐ予定の友人が営業終了後に
ギターを手にとって歌った。

「Down By Dream」
佐久間学の曲だという。

衝撃的だった。
ドスの効いた声でがなるように歌う友人は
上手いとは言えなかったが、
僕は彼を通して歌われたその楽曲にショックを受けた。

すぐに彼に歌手名とアルバム名を聞き
翌日レコード店へ走った。
インディーズだったため入手に非常に苦労したことは
覚えてる。
町中のレコード屋を、それこそ走ってハシゴしたことは
後にも先にもあの時以外にない。

現在手元にあるそのアルバムは歌詞カードもジャケットも
紛失して、ケースも盤もボロボロだ。
ただ、10年以上変わらず、必ず手元に置いてある。

6曲入りの、何の飾りもない弾き語りに近いミニアルバム。
ただその曲たちはいまだに僕にとって宝石だ。

1曲目の「Maybe」はアイソトープ時代からライブの定番カバーで、
全国でもソロでも、数え切れないほど歌った。

3曲目「Fools Memory」は僕が生まれて初めてレコーダーで
デモ録音した時にオリジナルと共に収録した。

4曲目「Sherry」は去年くらいまでライブでよくカバーしていた。

6曲目、冒頭に紹介した「Down By Dream」は今でも家で声の調子を
整えるために歌うことがある。

「風が僕を吹き飛ばし　地面すれすれに運んでく
　Oh my friends,　聞かせてやれよ
　Oh my friends,yeah　ただの夢のはなし」

その歌いだし数行で、僕はいつもハイになる。

彼のギターはよく知らない。
メジャーで発売された数枚は、その後後追いで聴いたものの
僕の心に届く作品ではなかった。
ブルーズロックやハードなオルタナサウンドも演奏していたように
記憶しているが、僕の求めるものとは違った。

僕が好きになったのは、彼がシンガーソングライターで、
歌を生かす弾き語りをしていたからだ。

単純なストローク。
力強い。
飾りを極力入れずに、ただただ歌を生かし
リズムをキープする。
歌のシンコペーションとストロークが
合っているため、ただの弾き語りでも
退屈しない。
ストロークが、歌っている。
簡単なようで、これが難しい。
リズムは大事だ。

アルペジオもただただ正確。
ギターが上手いのと正確なのは、違う。
正確な上にギターが歌い、泣いている。

僕は彼から、歌を正確に伴奏する
ギターを教わった。


４、5年前か？東京下北沢で彼の弾き語りライブが
行われるという情報を得、チケットを押さえようとしたが
予定が合わず、逃した。

その後、彼の情報を聞くことはなくなってしまった。

復活を、切に希望するばかりである。